こんにちは工房七瀬です。
木彫看板の彫り文字塗装に使っている塗料はカシュー塗料です。
カシュー塗料は漆に近い仕上がりです。
文字塗りに使う塗料はいろんなタイプがあります。例えばウレタン、アクリル、シリコン入り。その中でも油性と水性に分けられます。
油性塗料
油性塗料は臭いがきつく塗料用シンナーなどで薄め使います。文字を塗る刷毛や筆も作業が終わったら塗料シンナーで洗います。
水性塗料
水性塗料は臭いがほとんどなく水で薄められます。文字を塗る刷毛や筆も作業後水洗いで済みます。
当工房の彫刻文字 塗装法を紹介します。
工房七瀬の文字塗装法
当工房の木彫看板文字部分の塗装はカシュー塗料を使います。
カシュー塗料は油性で漆に近い仕上がりです。

塗膜は厚く文字はふっくらと仕上がります。上の写真のように板部分の木目は見え、文字部分の木目が消えます。
なので文字部分があまり主張しすぎずスッキリします。
2004年から2008年は下のような塗装もやっていました。下記写真のように彫り文字の木目が見え文字が主張しすぎると感じました。だからカシュー塗料に変更しました(個人の意見です)
なので工房七瀬はカシュー塗料を使います。

塗装3つの工程
下塗り、中塗り、上塗り3つの工程で文字の塗装を仕上げます。

- 下塗りはカシュー塗料の下地2号
- 中塗りはサーフェイサー
- 上塗りはカシュー黒

カシュー上塗り塗料にはツヤありとツヤ消しがあり、お客様の要望により使い分けます。

また、つや有りと艶消を混ぜ合わし3分ツヤ・5分ツヤにも調整できます。

つや有りと艶消とカシュー薄め液を紙コップへ取り調整です

カシュー塗料は薄め液で約10%から20%薄め使います。
計量器に乗せグラム単位で調整します。冬場夏場で若干薄め液の量を調整し使います
ツヤアリ仕上げをした事例

カシュー塗料は彫り文字の木目が消えふっくらと仕上がります。
艶消しの事例


カシュー塗料の塗り方
文字彫刻→下塗り→中塗り→上塗りの工程で仕上げています。
下塗り
下塗りは目止めをするのが目的です。
目止めをしていると彫った文字部分以外へのにじみが出ません。
文字部分の木目、導管が消えフワっとした仕上がりになります。
木部への塗装は木目に沿って塗る。これが一般的な方法のようですが工房七瀬ではまず木目に対して直角に塗ります。そのあと木目に沿って塗るという方法でやっています。
特に下塗りの目止めでは導管に擦り込む様に導管をつぶすように塗ります。
下地剤は一晩で乾燥しますのでその後中塗りへと進みます。
中塗り
中塗りは彫刻文字を平らにするのが目的です。
なるべく凸凹が無いよう文字を彫っているのですが、少し凸凹します。凸凹は手で触ってもわからない程度です。
文字彫刻部分を平にする中塗り剤はカシューサフェイサー。
下塗り後、中塗り後、ともに耐水ペーパーで水砥ぎをします。水砥ぎの利点は、目の細かいペーパーがあるところと、ほこりが出にくいというところです。
中塗りは一晩で乾燥。その後乾燥後上塗りへと進みます。
上塗り・仕上げ塗り
彫り文字上塗りは2回から3回で仕上げ。
カシュー黒を使います。
カシュー黒には艶ありと艶消しがあり、艶ありと艶消しを調合し3分ツヤ、5分ツヤなど、依頼主様の好みに合わせ調合し塗装しています。
上塗りは1日乾燥。乾燥後2回目の上塗り。2回目の上塗りは1日乾燥。乾燥後仕上げ塗りにて完了
1回目の上塗り乾燥後に、耐水ペーパーを使い水砥ぎし2回目の上塗り。その繰り返しで塗りは完了です。
まとめ
文字彫刻後、下塗り・中塗り・上塗りと工程を進めていき木製看板ができあがります。
どの工程も一つ一つが重要な作業ですから気が抜けません。
また、看板になる板の種類によっても塗料の薄目具合や塗り方も少し変わってきます。
以上が当工房の木製看板文字の塗料と塗装法です。